満を持して!探偵ネコペンとノッペン助手の二人、がっつりランチの旅へ出かけたの巻。

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並ぶこと約20分、並んで店に入ると「いらっしゃいませ!」の声に交じり、「ジョウロー、2つで~す!!」「じょうろー、一つです!」、明るく元気な声が飛び交う。ごく狭い店内だが、調理人含めスタッフは計5名。それぞれ“あうん”の呼吸で気働き、立ち働き。東銀座、歌舞伎座裏の一画。二丁目「とんかつ にし邑(むら)」の昼はこうして活気に溢れている。

銀座で“とんかつ”と言えばここ「にし邑」は外せない。ランチは平日11時30分~14時30分だが、11時前から並び始め、昼の営業終了まで、常に行列が途切れることなく続く。

一番人気は“ジョウロー”こと「上ロースかつ定食」だ。低温でじっくり揚げられたボリュームたっぷりの豚カツは、ジューシーな上に岩塩が引き立てるやさしい甘みと旨味がじわりと口中に溢れ出てくる。たっぷりのキャベツと沢庵に、豚汁は酒粕入りの深~い味わい。

なによりご飯までが、また旨いのだ。ここまですべてがそろったランチはそうは知らない。

(東銀座「にし邑」入口)   (一番人気の上ロースかつ定食)    

上ロースかつ定食。この味、このボリュームで税込@1650円也とは。裏通りとはいえ銀座でこの価格とはあまりに良心的過ぎますね!とノッペン君。そう、不適切過ぎる値段というものだネと、ヒゲの周りを舌で舐めまわしながら、満足そうにネコペン探偵もそう応じた。

1600年代の初期。江戸城改築などに従事する木挽き職人が各地から数多く集められ、この一帯は『木挽町』と呼ばれるようになったという。実際、昭和26年(1951年)まで、その名が使われていたようだ。いまも電柱プレートに銀座〇丁目〇〇番地と木挽町通りなどの文字が並べて記してある。「江戸」の痕跡が色濃く残る場所だ。ここでは、江戸はけっして遠くない。粋な土地っ子のこだわりと誇りが令和のいまも、変わらず、強く、伝わってくる。

裏まちのやや古びた町食堂。けれど、「技」と「心意気」が伝わる店、普段遣いの名店だ。

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「ところで、ノッペン君の“ランチ道”はどんなものかな?」

「ええっランチ道ですか?・・・まず気の置けない店、・・・

味が良くってお手頃価格。時間もあまりかからない!ですね。」

「なるほど・・・ やっぱり普段遣いの店が基本ってことだね。

・・だけど、たまには奮発も!っていうのもあるね。」  

                             

「そうですね、ごくごくたまにですけど、特上ランチ奮発も!いいですね」

「旨いだけじゃなく、安心食材と腕。栄養バランスや店の雰囲気もあるね。」

「飽きがこなくて、いつも新鮮で、、でもなぜか安心感のある、、かな?」

「ランチ道」に関するこだわりと期待、二人の話はまだまだ膨らんで、終わらない。

                                    (つづく) 

    

執筆者:弓土 一也(ゆみと いちや)
キャラクターイラスト(ネコペン、ノッペン):独楽里(Komari) 

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