ランチ探偵 銀座裏まち ぶらり旅(9)フレンチ・ランチ

午前10時過ぎ、ブレイクタイム。二人はコーヒー片手にいつもの「食いしん坊」談義。
「ノッペン君! 〝本格〟と付く料理とは、、どんなイメージかな?」
「〝本格〟ですね?! やっぱりフレンチでしょうか? それと、、中華も。」
「そうだね、、和食やイタリアン、エスニックではあまり使わないね。」
「〝本格〟フレンチって、ほんと敷居が高いですね。」「本格中華もですが、、、」



「あっ、、所長!! 今日のランチどうしましょう?」
「そうだった! その敷居の高い方じゃない〝フレンチ・ランチ〟はどうかな?」
♤ ♤ ♤ ♤ ♤
「そう!!」、「ランチでフレンチ、となれば!!」、と二人、声をそろえてハモった。
◎町フレンチ「パリのワイン食堂」
歌舞伎座の真裏の一画。銀座3丁目の小粋でリーズナブル、かつ、新鮮素材で人気の店だ。
行列も絶えない。奥行きのある店内は50名は余裕で座れそう。近くの女性客でいつも満員だ。開放的な店内は、パリの香りを送風するポスター群がところ狭しと壁面に貼られ、視覚からもうパリの気軽な街角レストラン。そう、東銀座で愛される〝町フレンチ〟なのだ。



11時半。待ちに待った開店となり、行列が動き出し、、二人、わくわく気分で店内へ。
二人のメインは「特選さわらのポワレ当店風」と「国産鶏ムネ肉しっとり低温ロースト」。
サワラの身はしっかりしっとり。特選がうれしい。ローストの低温も効いている。どちらも淡白な身だがソースの深みがしっかり効いて、さすが!フレンチ。ボリュームも申し分ない。生ハムの乗った野菜サラダにナゲット、珈琲も付いて、これでお手頃税込1,210円とは!!
そう伝えた所長に「日々、がんばってます!」と店主と思しき男性スタッフの弁。感服だ。
ほぼ女性客。すぐ隣りがマガジンハウス社だが、、どこにこれだけのビジネスウーマンが、、、


◎欧風料理 「シャンティイ」
ランチ探偵二人のフレンチ推し、もう一軒。木挽町仲通り・銀座一丁目に、そっと潜む。
三色の控えめな看板に気づくと狭い階段の下にその店はある。二人ともまだ発見二年目だ。


「お昼のフランス定食」。
メニュー看板からが優しい表記。1,300円が二種、他に1,800円、2,400円と四択がうれしい。
どれもポタージュスープにフレッシュサラダ、焼き立てパンが付く。いつもチョイスに迷う。
この日、ノッペン君はいつもの「豚肩ロースのビストロ風煮込み」(税込1,300円)を注文。
所長はちょっと奮発?「エゾシカの肉料理」ランチ(1,800円)。チーズで包んで火を通したグリル。縦に割けるようにほどける鹿肉が特製デミグラに絡んで口中に消える。焼きチーズがほど好いハーモニーを奏で、とっても優しい味に仕上がっている。グッジョブ、と独り言。
夫婦で営むこじんまりした店だが、メインとともに実は、焼きたてパンが美味しい店なのだ。
熱々焼き立てパンがいつも二種提供され、、香りからまず味わい深く、食べ比べもうれしい。
落ち着いた店内に静かに流れるBGMも優雅で、しっとり。まさしく店主ご夫妻のようだ。
聞けば、虎ノ門からココ銀座一丁目・木挽町仲通りに来てもう30年だという。この辺り、数年前まではほとんど人通りがなかったような一画だった。だから30年はすばらしい。「コロナ禍」苦境も乗り越え、営み続け、そして現在に至る。そのご苦労、、さぞや、と。
手頃な価格で定期的に通いたくなる、そんな店。二人には普段遣いの十分な〝本格派〟だ。


◎ 「ブラッスリー・ニーケ」
打って変わって小粋で、気軽な、ビジネスウーマンたちの日常ご用達の一店を、ご紹介。
銀座、京橋の常連らしき女性客でいつもいっぱい。仕事や子育ての憂さをおしゃべりで癒す。
歌舞伎座裏、木挽町仲通りのずっと先、京橋公園に面した一画でリニューアルしたばかりだ。
コトラー所長とノッペン君。当店の炭酸ガス入りウオーターが恋しくなり、時々通っている。
座るとすぐ出てくる泡立つ水。ほどよい〝のど越し〟と〝お代わり自由〟が基本、うれしい。
もちろん料理も満足だ。女性客お目当て「ハラミランチ」が一番人気だが、「シェフお任せプレート」も創意工夫が人気だ。スープ、サラダ付きで@1,200円台とはリーズナブルだ。


仕事に影響ない日は白ワインで乾杯するのも楽しみ。さらに珈琲プラスでも@2,000円程度とは、かなりリーズナブル。目の前の京橋公園の四季も借景となって楽しい。開花から満開、葉桜、新緑、濃緑、紅葉、と、ギラつく陽光の蔭を作ってくれる樹々の恩恵。テラス席から子どもたちの駆けまわる姿も楽しめる憩いのひと時。四季を通じ「借景」もこの店の魅力だ。

この界隈、〝本格〟フレンチの店ももちろん決して少なくはない。静かに、優雅に、佇む。
「萩焼 銀座おのでら」「銀座ル・コチア」「レフ・アオキ」「KAIRADA」「CACHETTE965」、、、、
ただ、ランチ提供となるとそう多くない上、〝本格〟だけに、昼でもかなりの値段となる。
時にはちょっと贅沢ももちろん好いが、二人の探索基準は「普段遣いのフレンチ・ランチ」。
味とサービス、そして価格。カジュアル・フレンチ、ビストロ、ブラッスリー、、、
探索の旅はまだまだ、つづく。


