ランチ探偵 銀座裏まち ぶらり旅(11) 夏バテには〝そ〟が、、、

「ノッペン君、こんな猛暑日、昔の人はそうめん、ひやむぎだったとか、食が細くなって」
「それじゃあ、力が出ませんね。バテてしまいそうです」とノッペン君。
「そうそう、〝夏バテ予防には蕎麦が良いらしいネ。鉄分やマグネシウムがたっぷりで」
「汗でミネラルが流れ出しちゃいますからね」「では今日は蕎麦ランチですね!!」

◎ 「銀座 長寿庵」
オフィスのすぐ近く、昭和10年創業の老舗そば屋だ。店頭看板にも「元祖 鴨せいろ」と大書。といってもココ東銀座、木挽町。看板はインパクト大だが、まったく気取らない普通の町蕎麦屋。広い2階もあるが今は遅めのランチ時間、一階のテーブル席に直ぐに座れた。さっそく二人、もちろん一番人気の『鴨せいろ』をオーダー。ボリュームたっぷりの細麺は硬めのツルツル系。少し辛めの熱々のつゆにはたっぷりのネギと、そして、鴨肉が1、2、3、、、5、6.、、7切れも!!この質実とたっぷり感に老舗の誇りが感じられる逸品だ。仕上げは大ぶりの什器のたっぷりの蕎麦湯で残りつゆをすする。至福の時だ。鉄分やマグネシウムが体内に溶け込んでいくたしかな実感。旨いだけでなく滋味深く、そして変わらぬ味とこだわりと。そしてなんと最近の50円値上がりでも@1300円とは、、、うれしい値段だ。
ごくごく地味目の店構えに変わらない味とボリューム。今日もごちそうさまでした。

「銀座 長寿庵」。定期的に通いたい店、自称!ランチ探偵二人のイチ推しの町蕎麦屋だ。
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蕎麦は普段のランチ定番。時には二人、少し足を延ばして異なる蕎麦処でランチを楽しむ。
◎「そば処 多吉」
東銀座・木挽町で〝ランチそば〟といえば、「そば処 多吉」も欠かせない。歌舞伎座前から晴海通りを築地に向かい、七十七銀行手前を左折した裏道の先にある。気取らない店構えは店内でも。お得感満載のミニ丼付きランチセットは町蕎麦屋の面目躍如だ。近くのビジネス族が連れだって、また女性グループからお一人様まで、多様な客層がのれんを潜って来る。
ノッペン君は特価の「ハーフランチ」。大ぶり唐揚げ丼付きそばセットというガッツリ系(税込1200円)。コトラー所長は「とろろそば」。盛りが良い上、とろろだってタップリなのだ。
流行りの体裁や気取りなど一切ない潔ぎよさ。これぞ!普段遣いの町蕎麦。気軽にのれんを潜れる店だ。うどん好きにもだ。店を出た二人、次はうどんもいいな!と。さっきの通り雨もすっかり上がっていた。さすが「吉」のある店。帰り道、どんどん足取りも軽くなる。


◎ 「手打ち蕎麦 成富」
もう一軒、挙げておきたい店が歌舞伎座の向こう側、新橋寄りの木挽町仲通りの一画にある。『手打ち蕎麦 成富』だ。

更地となった築地市場内で長年評判を得ていた店が、東銀座の一画に移っておよそ10年余
天ぷらで人気の蕎麦屋だ。揚げ立ての夏野菜天ぷらとのセットがコトラー所長の大のお気に入り。もちろんノッペン君も文句はない。時々無性に食べたくなり、銀座一丁目から七丁目まで約15分余り、、、トコトコ歩いて向かう。もちろんその価値は十二分以上の店だ。


他にも〝おススメ〟の店はいくつもあるが、夏バテに特に挙げたい店がある。
◎「流 石」(銀座二丁目 木挽町通り)
この店の「ひやかけそば」は絶品だった! 薄口のツユが旨くて、大碗の底の絵柄が見えるまで啜った記憶がいまも鮮やかに脳内に描き出される。が今夏、残念ながらランチメニューからは外れている。ミシュランにも載る銀座を代表する蕎麦屋の一つだが、ランチにまで手が回らなくなったのか、、人手不足もあるのか、、、 再メニュー化を心待ちにしたい逸品だ。
今夏のランチタイム、残念ながら気軽な訪店とはいかなくなった。ザンネンシゴクだが。

◎「木挽町 湯津上屋」
銀座一丁目、京橋公園にほど近い小路の一画に、ひっそりと佇む。きっかり11時30分にならないと店内灯も点かず、今日はやっていないのかな?と毎回不安にもなるが、開店後は、すぐ満席近くとなる。と言っても入り口付近のテーブル席×三卓と奥のカウンターの三席のみの小店だが、正に裏まち、裏横小路の隠れた名物店。二人の特別おススメは『すだちそば』だ。残暑下、汗を流しながらたどり着いた後の清涼感は、何物にも代えられない逸品だ。
一見して無愛想な店主が黙々と蕎麦を茹でる。客も承知の助。静かにその時を待つのみだ。火曜~金曜のみの営業と、商売っ気が無いようにも見えるが確かな〝職人かたぎの店〟。
夏こそ!時々は通って〝手繰りたい〟蕎麦の魅力。静かな店内で一服の涼を味わえる。

残暑はツルツルのど越し爽やかながら、、しっかり鉄分、マグネシウムでミネラル補給こそ!!
執筆者:弓土 一也(ゆみと いちや)
キャラクターイラスト(ネコペン、ノッペン):独楽里(Komari)