「所長、長崎出張お疲れ様でした。
     新鮮な魚で英気を養って来られましたか?!」

『ありがとう。ノッペン君、留守居役、お疲れ様でした。、、そうそう!!
     向こうも暑かったけど久しぶりの長崎、面白い発見がありましたよ』

「ぜひぜひお聞かせください!」
『現地の仕事が早く終わったので昼どきだ!と目指した眼鏡橋前の皿うどん「共楽園」さん
以前地元の方に教わったやや甘いタレにソースをかけていただく逸品。変わらない味を十分楽しんだ後、近くの中通り商店街をぶらぶら、、これがココ木挽町通りになんとなく似ている気がしましたよ。老舗続きの中にこだわりカフェやユニークな雑貨店等が共存していてまたゆっくり歩きたい街でしたよ。新地中華街や思案橋界隈にはない風情で。』

興味津々のノッペン君。デスク作業から壁の時計を見上げて、、、慌ただしく立ち上がった。
「所長、なんと、もう11時半近いんですね、、、
     つづきはランチしながらぜひぜひ聞かせてください。」

久しぶりの〝ご一緒ランチ〟、「丑の日」のある月はうのつくものでしょう!!。と二人向かった先は通り二つ先の3丁目角。うだる猛暑の中、のれんの文字が今日は一段と鮮やかだ。

登 三松(とみまつ)東銀座店

希少な国産にこだわる〝うなぎ問屋〟経営の、都内三店舗の一つ。江戸後期の創業の系譜を継ぐ老舗だが、一番人気のサービス弁当始め、驚くほどの〝お値打ち〟で親しまれている。
熱々!肉厚、ふっくら、うんうん、これこれ! 留守居のご褒美ランチだからノッペン君、舌もココロも大満足だった。〝ふだん遣いランチ派〟の二人にとってココは格別の店だ。
土用丑の日』、平賀源内の広告がきっかけで広がったとの説もあるが、今年は7月19日と31日の二回。暑さ乗り切るスタミナ食として〝うな重〟は確かに『力』が湧いて来る。
といってもランチ探偵コンビ、基本「道」は〝ふだん食のグルメ〟、となれば二人にとって「登 三松(とみまつ)東銀座店」があれば何の不満も、不自由もない。

今年の七月もまたこうして元気の素、うの付くものを戴ける幸福に感謝しながら完食した。

グルメの街、東銀座・木挽町界隈は〝うなぎ〟の老舗、人気店の集積でも知られる

とりわけ歌舞伎座の向かい側(銀座5~8丁目)、新橋に近い8丁目界隈は特段の集積地だ。
ただ、二人のオフィス、銀座1丁目からはだいぶある上に、もちろんランチ道の高嶺の花。8丁目の人気店へは基本、〝客人もてなし〟の折にようやく足を延ばして、、と限られるが。

銀座でうなぎと言えば、まず「竹葉亭」本店と「神田川」が挙がる。どちらも長い歴史を誇り、伝統とのれんを守り続ける老舗。年々絶滅の懸念が増す鰻。加えて昨年からのコメ不足、米価高騰の中で、日々、変わらずその味と誇りを持つ続けることのいかに大変なことか、、

「竹葉亭 本店」

江戸後期の創業で、銀座で鰻と言えば先ず挙がる。夜は本格和食懐石で知られる。入口の佇まいからがもう期待感十分だ。ふだん遣いランチとしては、、、と敷居は高くなるが、人気のA、B二種の「うな丼」はそれぞれ三千円台、四千円台と老舗有名店としてお得感は十分だ。
やさしい味というか、上品な舌触りにのど越し、、 次にいつ行けるかが、二人の楽しみ。近年ことに外国人客が増えたそう。彼らの舌に合うようになったか。知られてしまったか、、

「ぎんざ 神田川 本店」

ビルの地下一階、落ち着いた照明の店内はテーブル席の他に、小上がりや小中個室もそろう。
ランチは「鰻 重(肝吸い付き)」(@3280円)始め、、蒲焼御飯、白焼御飯、鰻ひつまぶしと、いろいろ。明治3年の創業。現在地には昭和3年から、ビル地階には平成5年から、とパンフにある。この店も鹿児島産ほか国産にこだわる。どれもしっかり「肝吸い」が付いて、やっぱりランチはお得感MAX。二人にとっても理由を作って時々は行きたい店の一つだ。

   

深い余韻とともに帰社したノッペン君、早速、長崎市の中町通り商店街』を調べてみた。

江戸時代から400年近く、長崎市内で最古の商店街だという。市役所前から『眼鏡橋』を渡って一本、山手側に入った裏通りなのだが、どうしてどうして、歴史も伝統もある商店街のようだ。観光通り、思案橋、新地中華街などよく知られた通りとはかなり雰囲気が異なり、骨董店や老舗菓子店に新味スイーツ店、ファンション店などが共存していると紹介がある。

江戸期からの裏まち、裏通りで、また〝こだわり〟が愉しい通りとくれば、東銀座の木挽町通り、木挽町仲通りと似通った裏通りか、、 とノッペン君、たのしみながら想像してみた。

ランチ探偵の二人、そんな語り合いの中から、なんとなく長崎が近くなった気がしてきた。
戦後80年、被爆地長崎の夏がまたやって来る。8月9日、忘れまい。長崎の鐘が鳴る日。

ただ、、 食いしん坊の二人。もう一方のアタマの中は、、ちゃんぽんが、、皿うどんも、、、

執筆者:弓土 一也(ゆみと いちや)
キャラクターイラスト(ネコペン、ノッペン):独楽里(Komari)

関連コンテンツ